銀杏

 早朝土砂降りの雨だった。晩秋の雨に濡れて、森の公園内に立つ公孫樹の木は実を落としていた。夕方雨が上がったので、早朝ランニングが出来ずにうずうずしていたので、日差しを仰いで戸外へ飛び出していた。駐車場に向かう途上で、袋を持って来ていないことに気づいたが、車内に何かあるだろうと、そのまま車内を捜索することになった。諦めかけたとき、ドアのサイドポケットに大き過ぎる、薄手のスーパーバックを探し出し、上着のポケットにしまい込む。

 森の公園に行くと、案の定、公孫樹並木の雌の木は、沢山の銀杏を路上に撒き散らしていた。公園内で一番大きな公孫樹の木をみると、同じ思惑で実を拾う、犬の散歩がてらの女性の落ち実拾いの影一つ。流行る心を抑えて、まずは、目前の路上の実を拾う。結局、重たい銀杏の実を持っての5kmのランニングとなった。

 夕食には、混ぜごはんのトッピングに緑色の茹でた銀杏が添えられていた。