涼風

 走り終えて、クールダウン後、帰宅するために靴の仕様を調整しようと、木陰のベンチに腰掛けた。いつもどおり遊歩道向きに腰掛け片足づつ紛れ込んだ砂と小石を取り出し、紐を緩めた。背面を眺めると、気持ちよい風が緑陰を渡り、体を包んだ。たまには、逆に座ってみるかとなった。

 右手の大きな樹から蝉しぐれ、鳥の群れが池に向かって渡っていき、陽の陰影で縁取られた、人工の森は涼風の中に佇んでいた。

 コーヒーショップのガラス壁に張り出された小動物の説明によれば、セグロセキレイか、むくどり群となる。水辺には前者が似合うが、群の騒がしさからすれば後者なのだろうか?

 エクササイズ後の涼風一服の初夏の朝となった。