静寂な湖面に人知れず落ちた露草の雫が小さな輪を描き、その波紋にさまざまな場の弱いポイントが共振し重なり合い、いつしかムーブメントはもう一滴の範疇を凌駕して、怒涛のウエーブとなっていた。
昼下がりのまだ暑い最中、ウオーキングのスタートとなった。陽は天中からもう傾き掛けており、歩きながら、風を切って進む歩幅は暑さがそれほど気にならない。本日は休養日なので、お散歩がてら遠回りして、図書館に向かった。
相場は、想定とは逆方向に動いている。
ジョーカーは、耳元を掠める風切り音に一瞬間身をか屈めたが、シークレットサービスが我が身の盾として必要ない存在だと判断した時点、拳を聴衆に向かって高く上げた。常人では出来ないデイラー自身による直感判断なのだろう。
一旦、ビバークは撤収して、食糧及び装備は最低限確保すると、それ以外は波任せとした。羽は撤収時の浮力として使用することになり、橋頭堡再構築の選択となった。キャッシュ比率が急増したので、滑落リスクは無くなったが、同時に登坂力が霧散してしまった。果たして、賢人の教えが正しかったのか?
運任せで相場の波に放り込んだ装備は、果たして足場の手掛かりに化けるのだろうか?
格言に曰く、『近くの銃声は売り、遠くのそれは買い』、戦場は何処だ? となった。
さて、どうなるか?