壺好き

 知り合いに壺好きがいる。白磁が綺麗だと言う、青磁もお気に入りである。上京したときに、某博物館探訪時の所蔵品のスナップショットをライン上に送るのがいつもとなっている。

 彼のひとの持ち株が風雲急の頂きに、危なげに見えた。

『これどうして買ったの?』

半導体だから、』

『こないだ売れば良かった!』

『下げても、最終的には戻るよ。配当金も付いてるし、待ってればいい。』

しばらくして、いよいよ相場が煮詰まり、損きりライン上に乗ってから浮上して、含み損が少なくなったと推定出来た時点で判断を促した。

『このあとの下落がきついかも!』と損きりを勧めたが、婦人の仁の成せる技なのかそのままとなってしまった。翌日、ジムに向かう途上、『下がった』とだけの未読メールがスマホ上段の片隅に輝いた。

 『どうすればいい?』とベストな解を求めるニュアンスが短い単語に凝縮されていた。どうしたものか?としばらく思案した。半日放置の挙げ句、返信を認め始めると、対応戦術は上下動に合わせて難なく湧き出た。持高と仕入れ値を確かめて、詳細なシナリオとなった。先方の銘柄がリッチマン銘柄であり、そのまま保有でも良いのだが、ポジションの改善策としては完璧に近いだろう策を授けた。

ただ、賭事は水ものである。しかし、この先、相場の神は知り得ないゲーム理論が成り立つかも?

さて、どうなるか?