ユルキャラ

 前回の出張は夏の日差しが残る、秋晴れの風の中、渡る白い雲とともに淀みなく綺麗に流れた。自ら引き起こした相場の転換点が、大波のトップエッジから一二度のボトムターンに成功し、戦略シナリオまで昇華させ、三度目に多少の無理を感じたがなんとか回帰した。回帰と同時にテイクオフを仕掛け、仕掛けを重ねて底を究めようと攻めた。再再度テイクオフのボトムの底が割れて、奈落の底を垣間見ることになった。

 ただ、恐怖感よりもその底に獲物を求める獣の目をともなって、最適位置まで余裕の回避棚へのランディングとなった。そして、掠り傷は負ったが却って気力は増したようだ。

 『仏陀の天井天下唯我独尊のポーズなんですか?』とユルキャラのポーズの意味合いを聞いた。一瞬、見詰め返した顔が綻び、『踊るはにわなんですよ!』と返って来た。

 追いかけて来た監視員が何やら言っている。どうもこちらのスマホのフラッシュ設定指南のようだ。手渡すと器用に端末のセッティング画面から望みの設定にしてくれていた。操作を眼前で行ってくれたので、私が行きつ戻りつしていた、たどり着けない極みを軽く超えた。年配女性であるが、同様な対応ニーズが巷に転がっているのだろう。物知りな笑顔がこれでどうぞ館内撮影下さいと言っていた。