雨の群雲

 荒木村重が妻子を犠牲にしてまで、時の権力者信長に手渡すのを拒んだという、茶道具があったような筋書き仕立ての歴史物語りを読んだことがある。茶道具の銘は覚えていないが、同時代の茶碗なのだろう?

 名前も意味深長である。

 村重自身が利休弟子であり、茶人のようだ。その茶壺を所持するものが、天下人足りうるみたいなシナリオをどこかで見聞きしたような気もする。

 信長に本願寺攻めで戦功認められ、茨木城主となり、筒井旬経と奈良支配で戦端を開き、坊主の権勢利用に既成概念破壊者であり続けて来た、権力者の心変わりの先を見誤り、主君を見限り、敵方毛利と通じる世渡りが、最終的には破綻して、尼崎城で自刃となる。そんな物語だったような気がする。