木漏れ日

 エクササイズ終わり地点まで来て、息が荒い、一瞬、我が身を点検していた。木陰から樹林の光の彩が目に止まった。別のアングルも気になったが、1ショットで止めた。いつもの場所は逃げては行かないが、実は同じ風景とわたし自身は一期一会であることを経験知として知っている。

 感じたときに撮るべきである。雲が流れ、日差しも変われば、風にざわめく樹林の葉陰も揺れる。1周すれば、気配はべつものとなっている。

 そう言えば、いつぞやの狐はどうしているのだろう。暗闇を闊歩する姿が竹林の中に消えたあの夜は、こぞの晩夏の幻だったのか?