富岳百景

 逆巻く大波の波頭の向こう側に、遠く富士の高嶺に雪渓が見える。美保の松原辺りから眺める、日本の霊峰の姿を版画の中に置いた、有名な葛飾北斎の絵巻きの画面に、AIが気を利かせた白い雲の一群が流れた。

 数年以前に恩寵博物館の2階展示室で撮影した画像をスマフォの壁紙にして、お蔵入りとなっていた。同時期に歌麿の浴衣姿の美人画も同じ処理をして、壁紙として使用していた。久振りに館内を歩いて、一幅の版画絵の前に立ち止まった。鳶が宙返りして、何かを成そうとしているムーブメントがその中に表現されていた。以前も気に入って、撮影したのだが、意図したレベルの画像となっておらず、ピンぼけした画像では、鳥の飛翔が感じられず、意識の外に捨てられていた。

 再度画像化を試み、壁紙のストックとなったが、未だ飛翔せずと言ったところ、富岳百計が壁紙なり、白雲がロックした画面上にたなびく。