やましゆ?

 遊歩道の築山を回って出て来たところ、右手に黄色く芽吹いた樹木が視界に入った。その樹のまえに佇む、ご婦人が見上げている刹那、

『黄色いの芽なのかな?』と問わず語りに独り言を吐いた。

 振り返った彼女は、一瞬眼を大きく開いて、何かを認めた後、

『やましゆ、山に朱と書いて、そう読むんです。』と説明してくれた。

 暖かい春の陽欲しさに散歩に出掛けて来た、この辺りの住人なのだろう。

『陽の光は暖かですが、風は冷たいですね!』と言うと、

『そうですねと』とにっこり笑った。

 久しぶりのお天気なので、マーケットの週末処理を起動させて、散歩に出て来た。途中、期待感が陽の暖かさに増した。期待どおりに道端の無人販売台には、可愛いサボテンが4鉢載っていた。