あきあかね

 

 銀杏並木まで来ると、見慣れた後ろ姿が歩いていた。180cmx100kgはある巨漢である。小学生の登下校時の横断歩道ごとに交通整理する見守り隊、おじさん世代のボランティアに参加されているうちで、何故だか気安く口をきくようになった。

 わたしより一回り以上の先輩であるが、足腰はいまだ丈夫なようだ。走っている時間帯が朝の登校時に重なっていたので、挨拶以上の話題を供するようになったのは、互いに波長が合うのだろう。

『また、朝の走るようになったの?』

『5:30から走ってた!』

『・・・』

『暑くなくなったので、時間帯変えた!』

並木の終点あたりまで雑談をしながら併歩し、森の入り口付近で走り出し別れた。背中越しに頑張れよの掛け声が聞こえ、右手を上げた。