帰り道

 いつもの見慣れた風景が車窓を流れてゆく、ただし、未だ陽は傾いておらず、世の中を明るく照らし続けている。コロナ渦以前なら、暮れなずむ都会の交差点を左折して、甲州街道を北上していた。

 気分的には、祭りの終わりの愛おしさに後ろ髪引かれる。陽の傾きの中に漂う都会の残り香を両の掌の中に手触りとして感じてしまう。そんな哀愁に浸っていた。

 皇居の掘り端を併走する。来るとき見た鴨の群れが、この風景の中には存在しないことに気付いた。

 あっけらかんとした、渇いた風景画が四角いカンバス内に映し出されてゆく。

未だ、陽は高い。