― どこに行けばいいですか?ーとの問いかけメールが届いた。
ー 入谷30分ごろに着ます!ーと続き、
ー会議が丁度終わったところでグッドタイミングです!ーとエンディングした。
少し思案して、
ー公園口まで来てください!ー と返した。
ー 最上階の出口ね!ーとなった。
公園口の改札を出て、円形花壇の石段の端に腰掛けて待つことした。周りを見れば、待ちひとを出迎えると知れるひとがちらほら、無表情のうち秘めた、待ち人への思いが出口付近の空間に、暖かい日差しのなかで大きく膨らんで浮遊しているようだ。
『何処かでお茶しましょう!』
『遅い昼食でも構いませんけど?』
『博物館のレストランでどう?』
『それいいですね!』と場所が決まった。
昼飯は道中で採っていたが、軽めのパスタなら大丈夫だろうと腹具合を確かめた。
『きょうのお薦めは?』
『本日はミートソースです。』
『それ美味しそうだから、それにします。』
『それに特別コーヒーね!』
『来月分を出しちゃいます!』となり、
庭が見える位置に彼女に座らせ、昼食会議となった。資本政策のシナリオを開陳しながら、財務状態を大まかに確認して、言葉に熱が籠もっていた。客は2人きりであり、男女のコンシェルジュふたりに聞こえるような声になっていたのだろうと、少し反省する。
年寄りは耳が遠いと声高になる、普段からそうなんだろうと思うが、少しも相手は気にしないのを、たったいま気づいた。
ー 何故だろう? ー となっていた。