どんぐりの実

しまったと思った。早朝のエクササイズ途上で径から拾い上げた、大きな団栗の実をトレーニングパンツのポケットに入れたままだったのに気が付いた。洗濯機は既に止まっており、中を覗いてパンツのポケットを探るが見当たらない。洗いものをかわして捜すが見つからず。嫁にことの顛末がばれてひとこと、

『こどもじゃないんだか

ら、どんぐりなんかひろってこないで、』

 新調したばかりの洗濯機に傷が付く、支障が出たらどうするとの主張である。『水に溶けたのかな?』と言うと、『そんなことあるわけないでしょ』と馬鹿にされた。

 さて、あの見事などんぐりの実はいったいどこに消えたのか?掌の上の写真だけが残った。

 台風のせいで風が強いが雨は降っていないので、テレビ体操こなしてから公園に出掛けようとしていたが、8時あたりから雨模様の天気予報に慌てて出掛けた。ウオーミングアップで歩き出したとき、昨日のロングの彼女が肩を揺らしながら、走り過ぎる背中越しにおはようと声を掛けると、大きく首を下げて挨拶を返した。彼女も雨を避けてのランニングに早めに出掛けて来たのだろう  左側を歩いていたおばさんに、この後雨になると言うと、『じゃ、あと2周は出来るな~』と返して来た。

 遠くに走りさった彼女の後ろ姿眺めながら、走り出せば追い越すかなと思っていたが、5周走ってクールダウンで歩いていると、追い越していくロングの後ろ姿があった。

『何周走るのかな?』と肩を揺らして喘ぐような女走りを見送った。